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専門職向け 退院支援の実務

退院カンファレンスの開き方・進行
準備・議題設定・進行・記録と算定まで

この記事でわかること
  • 退院カンファレンスとは何か・いつ開くべきか
  • 参加者の選定と事前調整の方法
  • 準備すべき情報・議題の設定
  • 進行のコツ・まとめ方
  • 記録と診療報酬算定のポイント
  • カンファレンスがうまくいかない場合の対処法

退院カンファレンスとは

退院カンファレンス(退院前合同カンファレンス)とは、 患者が退院する前に、院内スタッフと在宅・地域のケア提供者が一堂に会し、 退院後の生活・ケアの方針を共有・調整する場です。

単なる「引き継ぎ」ではなく、 「退院後に誰が何をするのか」を全員で合意することが目的です。 カンファレンスを経ることで、サービス開始の遅れ・担当者間の認識のずれ・ 退院直後のトラブルを大幅に減らすことができます。

いつ開くべきか

タイミング理由・目安
退院1〜2週間前 最も一般的。サービス調整が確定し、退院日が見えてきた時点。
退院前訪問(家屋調査)の後 住環境を全員で共有した上で議論できるため情報の質が高い。
要介護認定結果が出た後 使えるサービスが確定してから議題を組み立てやすい。
病状急変・方針変更後 当初の計画を大幅に見直す必要がある場合は随時開催。

参加者の選定と事前調整

📋 参加者の基本構成

  • 患者本人(状態が許せば参加を優先)
  • 家族・キーパーソン
  • 病棟担当看護師
  • 退院支援看護師 または MSW(進行役)
  • 主治医(難しければ代理または後日別途説明)
  • 担当ケアマネジャー(在宅の場合)
  • 訪問看護師(医療処置が継続する場合)
  • PT/OT/ST(リハビリが継続する場合)
  • 薬剤師(多剤・管理困難な場合)
  • 施設スタッフ(施設入所の場合)
💡 参加者への事前連絡のポイント
  • 日程調整はケアマネジャーと先に相談して決める(在宅側の都合を最優先)
  • 日程が決まったら患者・家族に直接確認してから関係者に案内
  • 「患者の情報を共有する目的」を事前に患者・家族に説明し同意を得る
  • オンライン参加(Zoom等)の活用で遠方のケアマネ・家族も呼びやすくなる
  • 資料は事前送付しておくと当日の議論が深まる

準備すべき情報・資料

📋 カンファレンス前に準備する資料

  • 患者の基本情報(病名・経過・現在の状態)
  • ADL評価(食事・移動・排泄・入浴・更衣)
  • 継続する医療処置の内容・管理方法
  • 内服薬一覧(管理方法・剤型・介助の必要度)
  • 退院支援計画書(案)
  • 退院後の生活イメージ(1日の流れ)
  • 予定しているサービス一覧(種類・曜日・時間)
  • 本人・家族の希望・不安に思っていること
  • 緊急時の対応方針(急変時・入院時の連絡先)

議題の設定と進行の流れ

開会・参加者紹介(5分)
「本日はお集まりいただきありがとうございます。 ●●さんの退院に向けた支援のための合同カンファレンスを始めます。」
参加者が多い場合は自己紹介を一巡させます。 患者・家族が同席している場合は、特に丁寧に歓迎の言葉を。
現在の状態の共有(10分)
担当看護師・リハスタッフから、現在のADL・医療処置・経過の概要を報告。 「入院時と退院時で変わったこと」を明確に伝えます。 在宅側の参加者が「入院前の状態」を知っている場合は、 その情報も共有してもらいましょう。
退院後の生活イメージの共有(10分)
「退院後、1日どのように過ごすか」を具体的にイメージしながら議論します。 「朝起きたら誰が介助するか」「食事はどうするか」「通院はどうするか」 といったレベルで話し合います。 本人・家族に「何が不安か」「どこを手伝ってほしいか」を確認します。
サービス調整の確認・役割分担(10分)
予定しているサービスを一覧で確認します。 「誰が何を担当するか」「担当者の連絡先・緊急時の対応手順」 「通院支援・薬の管理・処置のケア方法」を明確にします。 ケアマネジャーが主担当の場合、今後の調整窓口はケアマネになることを確認。
懸念事項・課題の共有(10分)
「これが心配」「ここが不安」という点を全員が安心して発言できる場を作ります。 特に患者・家族の発言を引き出すよう努めます。 「大丈夫です」と言われても「具体的にはどのようにされますか?」と確認します。
まとめ・退院日の確認(5分)
決まったことを口頭でまとめ、「退院日・搬送手段・持ち帰る書類」を確認します。 「今日話し合ったことをもとに計画書をお渡しします」と伝え、 会議録(サマリー)を後日送付することを約束します。

カンファレンスの記録と診療報酬算定

算定項目 点数 要件のポイント
退院時共同指導料1
(在宅側:往診医・訪問看護等が算定)
1,500点
(特別管理者は3,000点)
入院中の患者に対し在宅担当者が説明・指導。退院後の在宅療養に必要な事項を文書で提供。
退院時共同指導料2
(入院側の保険医が算定)
400点
(多職種連携加算:2,000点)
入院側の医師と在宅担当者が共同で指導。多職種が参加(多職種連携加算の要件あり)。
介護支援等連携指導料 240点(月2回まで) 入院中の患者に対し、担当ケアマネ等と共同して在宅サービスの利用方針を指導・文書提供。
⚠️ 算定には「文書による説明・提供」が必須
退院時共同指導料の算定には、患者・家族への文書による指導内容の提供と 診療録への記録が必須です。 「口頭で話した」だけでは要件を満たしません。 退院支援計画書・指導記録・サービス一覧などを文書化して渡しましょう。

カンファレンスがうまくいかない場合

よくある問題と対処法
  • 主治医が参加できない
    →「主治医からの情報提供(書面)」を準備し、後日別途説明の機会を設ける。 診療報酬の算定要件も確認のうえ対応。
  • 家族の意見がまとまらない
    →カンファレンス前に家族間で話し合う機会を別途設ける。 全員が同席すると話しにくい場合は、個別に意見を聞いてから持ち寄る。
  • 患者が「帰りたくない」と言い出す
    →その場で押し切らず「どんなことが心配ですか?」と聞く。 不安が具体的になればサービスで解決できることも多い。
  • 在宅側と院内側の情報のずれが大きい
    →資料の事前共有を徹底する。カンファレンスで齟齬が出たら 「その場でとりあえず決める」のではなく持ち帰って再確認する。
  • 時間が足りなくなる
    →1時間を目安に設定し、進行役(MSW・退院支援看護師)が 時間管理をする。議題に優先順位をつけ、詳細な話は別途個別対応へ。