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専門職向け 制度・社会資源

退院支援で使う社会資源一覧
困りごと別・根拠法つき早見表

この記事の使い方
  • 患者さんの困りごとから、使える社会資源を逆引きできます
  • 各制度に根拠法・窓口を付けています。他機関との調整や記録に使えます
  • それぞれ患者・ご家族にそのままお渡しできる解説記事にリンクしています。説明の手間が減ります
💼 退院支援の担当になったばかりの方へ。社会資源は、名前を知っていても「誰が対象で、どこに相談するのか」まで把握するのは簡単ではありません。退院支援看護師・新人MSW・異動してきた方が、迷ったときに開ける早見表として作りました。ブックマークしてお使いください。

まずは早見表〜この困りごと、どの資源?

患者さんの困りごと 使える社会資源 窓口 根拠法
医療費が払えず
受診を控えている
無料低額診療事業
自己負担を減免。実施医療機関に限る
実施医療機関の医療相談室 社会福祉法
第2条第3項第9号
入院費が高額になりそう 限度額適用認定証高額療養費制度 加入している医療保険者 健康保険法・
国民健康保険法等
生活費・仕事・住まいが
まとめて行き詰まっている
生活相談支援センター
自立相談支援・就労支援・家計改善・住居確保給付金
市区町村の
自立相談支援機関
生活困窮者
自立支援法
住宅改修や福祉用具の
自己負担分が用意できない
生活福祉資金貸付制度(福祉費)
療養費・介護サービス費・住宅改修も対象
市区町村
社会福祉協議会
社会福祉法
第2条第2項第7号
緊急に少額の資金が要る 緊急小口資金(10万円以内・無利子・保証人不要) 市区町村
社会福祉協議会
同上
退院後の金銭管理・
手続きが一人では難しい
日常生活自立支援事業
契約内容を理解できる段階で
市区町村
社会福祉協議会
社会福祉法
第2条第3項第12号
判断能力が低下し
契約行為ができない
成年後見制度
財産管理全般・契約の取消し・施設入所契約
家庭裁判所
(申立て支援は地域包括・社協)
民法
制度の枠に収まらない
生活の困りごと
ライフレスキュー事業など
民間の生活支援
実施している
社会福祉法人
社会福祉法
(地域における公益的な取組)
地域での見守り・
ボランティアが必要
社会福祉協議会の各種事業 市区町村
社会福祉協議会
社会福祉法
生活保護が必要 生活保護 役所(福祉事務所) 生活保護法
障害福祉サービスが必要 障害福祉サービス基幹相談支援センター 市区町村の障害福祉窓口
基幹相談支援センター
障害者総合支援法
介護サービスが必要 介護保険サービス 市区町村の介護保険窓口
地域包括支援センター
介護保険法

使い分けの原則〜どの順番で当たるか

経済的な困りごとに複数の制度が候補になる場合、当たる順番があります。返さなくてよいものから先にが原則です。

まず「給付・減免」を確認する
高額療養費・限度額適用認定証・各種手当・無料低額診療事業。返済の必要がなく、本人の負担が最も軽い。
次に「生活の立て直しの相談」につなぐ
生活相談支援センター(自立相談支援機関)。総合支援資金・緊急小口資金の貸付は、原則としてこの相談の利用が要件になっている。単独で社協に貸付だけ申し込む形にはならない点に注意。
そのうえで「貸付」を検討する
生活福祉資金貸付制度。返済の見通しが立つかどうかが前提になる。審査に日数がかかる。
生活が成り立たないなら生活保護へ
申請は役所(福祉事務所)。貸付でしのごうとして時期を逸すると、かえって本人の生活が壊れる。
⚠️ 時間の見積もりを間違えないこと。社会資源の多くは、申請から利用開始までに日数がかかります。日常生活自立支援事業は訪問・支援計画作成・契約という手順を踏み、生活福祉資金貸付制度は都道府県社協の審査を経ます。退院日が決まってから動き出すのでは間に合わないことが少なくありません。

「経済的な問題がありそうだ」とスクリーニングで拾った時点で、退院日から逆算して着手してください。

判断能力の軸〜2つの制度の境目

金銭管理の支援では、どの時点で誰に頼むかの判断が実務上いちばん難しいところです。

判断能力の状態で、使える制度が変わる 【契約の内容を理解できる】 → 日常生活自立支援事業(社協との契約) ・日常的な金銭管理、福祉サービスの利用援助、書類の預かり ・訪問1回あたり平均1,200円程度(生活保護受給世帯は無料) 【契約の内容を理解できない】 → 成年後見制度(家庭裁判所への申立て) ・財産管理全般、契約の取消し、不動産処分、施設入所契約 ・申立てから選任まで時間がかかる → 迷う段階=まだ日常生活自立支援事業が使える段階 「まだ大丈夫」と見送ると、成年後見しか選べなくなる
💡 実務の勘所:入院中に認知機能が低下し、退院後に金銭管理が破綻するケースは珍しくありません。入院時アセスメントの段階で「今、通帳を管理しているのは誰か」を必ず確認しておくと、退院支援の後半で慌てずにすみます(家族との話し合いで大切なことも参照)。

患者・ご家族への説明に使えます

下記はいずれも患者・ご家族向けに書いた解説記事です。口頭の説明だけでは伝わりにくい制度は、記事のURLをお伝えいただくか、印刷してお渡しください。

🏥 無料低額診療事業とは?:対象者・利用の流れ・院外薬局が対象外である点まで

💬 生活相談支援センターとは?:自治体で名称が異なることも説明済み

🤝 社会福祉協議会(社協)とは?:「役所ではなく民間の団体」から説明

💰 生活福祉資金貸付制度とは?:資金の種類・限度額・利子の一覧つき

📋 日常生活自立支援事業とは?:成年後見制度との比較表つき

🌱 ライフレスキュー事業とは?:制度の枠に収まらない困りごとへ

まとめ

この記事のポイント
  • 社会資源は「制度名」ではなく「患者さんの困りごと」から逆引きすると使える
  • 経済的支援は給付 → 相談 → 貸付 → 生活保護の順に検討する
  • 金銭管理は判断能力の状態で日常生活自立支援事業と成年後見制度に分かれる。迷う段階なら前者がまだ使える
  • いずれも利用開始まで日数がかかる。退院日から逆算して着手する
  • 患者・ご家族への説明には、各制度の解説記事をそのままお渡しいただけます
📎 根拠法令

社会福祉法(第2条第2項第7号:生計困難者に対して無利子又は低利で資金を融通する事業/第2条第3項第9号:無料低額診療事業/第2条第3項第12号:福祉サービス利用援助事業)、生活困窮者自立支援法、生活保護法、介護保険法、障害者総合支援法、民法(成年後見)、健康保険法・国民健康保険法・高齢者の医療の確保に関する法律(高額療養費)

※本記事は2026年7月時点の情報です。制度の運用・利用料・実施状況は自治体および実施主体によって異なります。実際の調整にあたっては、各窓口に必ずご確認ください。