入院費が高額になりそうで不安…という方に必ず知ってほしい制度が「高額療養費制度」です。この制度を利用するための限度額適用認定証の仕組み・申請方法・マイナ保険証での対応を、わかりやすく解説します。
高額療養費制度とは?
高額療養費制度は、1か月間の医療費(窓口負担)が一定額を超えた場合に、超えた分を後から払い戻してくれる制度です。協会けんぽ・健康保険組合・共済組合・国民健康保険・後期高齢者医療、どの健康保険にもあります(加入先ごとの給付の違いは健康保険の種類と使える給付の違いをご覧ください)。
限度額適用認定証とは?
限度額適用認定証を病院の窓口に提示することで、最初から自己負担限度額までしか請求されない仕組みです。後で払い戻しを待つ必要がなく、入院時の支払いが最初から抑えられます。
✅ 限度額適用認定証のメリット
- 窓口での支払いが最初から自己負担限度額まで
- 高額な現金を一時的に用意する必要がない
- 払い戻しの申請手続きが不要
入院だけでなく、外来(通院)でも使えます
高額療養費制度も限度額適用認定証も、入院に限ったものではありません。外来(通院)も対象です。
同じ月に、同じ医療機関の外来で自己負担が上限額を超える場合、認定証(またはマイナ保険証での同意)を出せば、窓口での支払いが最初から上限額までで止まります(平成24年4月から導入された仕組みです)。
ひと月のあちこちの支払いを、合算できます
同じ月に複数の医療機関にかかった場合や、同じ健康保険に入っているご家族の分も、合わせて計算できます。これを世帯合算といいます。
✅ 70歳以上の方…金額にかかわらず、すべて合算できます
✅ 調剤薬局で払った分は、処方せんを出した医療機関の分に含めて計算します
✅ 合算できるのは同じ月(1日〜末日)の分です
マイナ保険証なら事前申請不要(2026年版)
マイナ保険証で対応できる場合の手順
- 入院前または入院受付時に「マイナ保険証を使いたい」と伝える
- カードリーダーにマイナンバーカードをかざし、顔認証または暗証番号で認証
- 「限度額情報の提供に同意しますか?」に「同意する」を選択
- 以上で手続き完了。紙の認定証は不要
従来の申請方法(紙の健康保険証の場合)
病院がオンライン資格確認に対応していない場合、または紙の健康保険証を使う場合は、事前に申請が必要です。
会社員・公務員(組合健保) → 勤務先の健康保険組合
自営業・フリーランス(国保) → お住まいの市区町村窓口
75歳以上(後期高齢者) → 住民税非課税世帯は自動適用の場合あり
必要書類(一般的な場合)
- 健康保険証(または組合員証)
- 申請書(各保険者のウェブサイトからダウンロード可)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
入院が決まったらすぐに申請しましょう。
自己負担限度額の早見表(令和8年8月〜)
自己負担限度額は年収(所得区分)によって異なります。下記は令和8年8月〜令和9年7月の額です。
| 所得区分(69歳以下) | 月の自己負担上限 | 年間上限(新設) |
|---|---|---|
| 年収約1,160万円以上(区分ア) | 270,300円+α | 168万円 |
| 年収約770〜1,160万円(区分イ) | 179,100円+α | 111万円 |
| 年収約370〜770万円(区分ウ) | 85,800円+α | 53万円 |
| 年収約370万円以下(区分エ) | 61,500円 | 53万円 ※ |
| 住民税非課税(区分オ) | 36,900円 | 29万円 |
「+α」は、医療費が一定額を超えた分の1%が上乗せされる部分です。
※ 年収約200万円未満(健康保険では標準報酬月額15万円以下)の方は、年間上限41万円が適用されます(令和9年8月以降に払い戻し)。
これまでは「1か月ごと」の上限しかありませんでした。今回、1年間の合計にも上限が設けられました。毎月の上限には届かなくても、1年の合計が上限に達したら、それ以降の支払いは不要になります。治療が長く続く方ほど効果が大きいしくみです。
・厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」
・全国健康保険協会(協会けんぽ)「高額療養費」自己負担限度額表(令和8年8月〜令和9年7月)
・健康保険及び国民健康保険の食事療養標準負担額及び生活療養標準負担額(令和8年3月5日 厚生労働省告示第66号/令和8年6月1日適用)
・厚生労働省「高額療養費制度の概要」(外来の現物給付化は平成24年4月から。世帯合算は69歳以下は21,000円以上が対象)
よくある疑問
申請は入院前が理想ですが、入院中でも可能です。申請が遅れると一時的に高額請求になる場合があります。後から高額療養費として払い戻し申請(診療月翌月1日から2年以内)もできます。
高額療養費の計算は「1か月(1日〜月末)単位」です。ただし3か月以上継続する「多数回該当」になると4か月目からは限度額がさらに下がります。
患者さんが加入している保険の被保険者(会社員の扶養家族が入院した場合は、被保険者である会社員)の名前で申請します。