療養・就労両立支援指導料
令和8年度改定対応・算定要件と実務ポイント
- 令和8年度改定における4つの見直しの全体像
- 改定前後の点数比較(相談支援加算は50点→400点の8倍増)
- 「治療と仕事の両立支援カード」による勤務情報提供の軽量化
- 対象疾患の限定廃止と算定可能期間の延長(3月→6月)
- 相談支援加算の施設基準(両立支援コーディネーター研修)
- 文書料の取り扱い・記録のポイントなど算定実務の注意点
改定の全体像〜限定的アプローチから包括的アプローチへ
令和8年(2026年)4月から、病気を抱える労働者の治療と就業の両立支援が事業者の努力義務となりました。これと歩調を合わせる形で、令和8年度診療報酬改定では療養・就労両立支援指導料に4つの大きな見直しが行われています。
- 点数の引き上げ(相談支援加算は8倍増)
- 算定可能期間の延長(3月→6月)
- 対象疾患の限定廃止(7疾患等の限定→疾患を問わず)
- 勤務情報提供プロセスの軽量化(両立支援カードの導入)
従来の「特定の疾患に絞った限定的な評価」から、疾患を問わず長期に伴走する包括的な支援の評価へと、性格が大きく変わった改定といえます。
点数の引き上げ(改定前後の比較)
| 項目 | 改定前 | 令和8年度 |
|---|---|---|
| 初回 | 800点 | 850点 |
| 2回目以降 | 400点 | 500点 |
| 相談支援加算 | 50点 | 400点(8倍増) |
| 情報通信機器使用・初回 | 696点 | 740点 |
| 情報通信機器使用・2回目以降 | 348点 | 435点 |
見直し①:勤務情報提供プロセスの軽量化〜「治療と仕事の両立支援カード」
従来、本指導料の算定には「患者と事業者が共同で作成した勤務情報を記載した文書」の提供が必要で、この共同作成のハードルが算定の障壁になっていました。
令和8年度改定では、患者が作成し、事業者が確認した「治療と仕事の両立支援カード」が医療機関に提供された場合でも算定可能になりました。患者自身が記載し事業者は確認のみ、という手続きの軽さがポイントです。
見直し②:対象疾患の定めの廃止
従来は、がん、脳卒中、肝疾患、指定難病、心疾患、糖尿病、若年性認知症の7疾患等に対象が限定されていました。令和8年度改定で疾患の定めが廃止され、疾患を問わず算定可能になりました。
✅ 整形外科疾患・精神疾患・消化器疾患など、これまで対象外だった患者にも支援を広げられる
✅ 「疾患で対象かどうかを判定する」スクリーニングが不要になり、「就労中で治療との両立に課題があるか」という視点で拾い上げる運用に変わる
✅ 入院時アセスメントや外来での問診に「就労状況」の項目を組み込む意義が増した
見直し③:算定可能期間の延長(3月→6月)
従来は初回算定月(またはその翌月)から起算して3月が限度でしたが、令和8年度改定で同じ起算点から6月まで算定可能になりました。
治療と仕事の調整は、復職後の体調変化・治療内容の変更などで長期化することが少なくありません。半年間の伴走型支援が評価対象になったことで、復職直後のフォローアップ面談まで指導料の枠内で組み立てられるようになりました。
見直し④:相談支援加算50点→400点と施設基準
相談支援加算の施設基準は次のとおりです。
✅ 当該職員は「患者サポート体制充実加算」の職員と兼任可
✅ 国又は医療関係団体等が実施する研修であって、厚生労働省の定める両立支援コーディネーター養成カリキュラムに即した研修を修了していること
👉 研修の申込み方法・流れは「両立支援コーディネーターとは?研修の申込み方法・費用・対象者」で詳しく解説しています。
算定実務の注意点
文書料は算定月内に別途徴収できない
記録に残すべき3点
算定の根拠として、次の一連の流れがわかる記録を残します。
- 患者から勤務情報文書(両立支援カード等)を受領したこと
- 文書内容を踏まえた療養上の指導内容
- 外部(産業医等)への情報提供まで行った一連の流れ
院内体制づくりのポイント
- 誰が両立支援コーディネーター研修を受けるか:患者サポート窓口・入退院支援部門の看護師・MSWが有力候補(兼任可を活用)
- 入退院支援部門との連携:入院時スクリーニングに「就労状況」を組み込み、就労中の患者を早期に把握する
- 外来との動線:通院治療中の患者が大半のため、外来看護師・化学療法室からの紹介ルートを決めておく
- 主治医への働きかけ:疾患限定の廃止・点数引き上げを院内に周知し、医師が「就労考慮の指導」を意識できるようにする
- 産業保健総合支援センター(さんぽセンター)との連携:各都道府県に設置され、両立支援の専門相談員が患者本人・事業者双方からの相談に無料で対応。産業医のいない小規模事業場(50人未満)の患者は地域産業保健センターも紹介先になる。院内で調整が難しいケースの外部連携先として窓口を把握しておく
よくある質問
初回の算定タイミングはいつですか?
情報通信機器を用いた場合はどうなりますか?
従来の「共同作成した勤務情報文書」はもう使えないのですか?
相談支援加算の専任職員は他の業務と兼務できますか?
まとめ
✅ 令和8年度改定で初回850点・2回目以降500点に引き上げ、相談支援加算は400点(8倍増)
✅ 疾患の限定が廃止され、就労中の患者全体が支援対象に
✅ 算定可能期間が6月に延長され、復職後のフォローまで評価対象に
✅ 両立支援カードで勤務情報提供のハードルが下がった
✅ 相談支援加算は両立支援コーディネーター研修修了の専任職員が要件(患者サポート体制充実加算と兼任可)
✅ 算定月内の文書料の別途徴収は不可。記録は「受領→指導→情報提供」の一連の流れを残す
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」告示・通知(令和8年3月5日保医発0305第6号ほか)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00074.html - 厚生労働省「治療と仕事の両立支援ナビ」
https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/ - 厚生労働省「治療と仕事の両立について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115267.html
※本記事は2026年7月時点の情報に基づく参考情報です。算定にあたっては必ず最新の告示・通知・疑義解釈をご確認ください。細かい算定解釈は疑義解釈資料・地方厚生局にご確認ください。