入退院支援の場面では、診療報酬(医療機関側)介護報酬(居宅介護支援・ケアマネ側)の両方に関連する加算が存在します。それぞれの加算がどのタイミングで・誰が算定するものかを整理することで、連携の「どこが評価されているか」が見えやすくなります。

⚠️ 必ずご確認ください:本ページの加算名・点数・単位数・算定要件は令和8年(2026年)時点の情報をもとに作成していますが、診療報酬・介護報酬は改定のたびに変更されます。実際の算定にあたっては必ず最新の告示・通知・施設基準をご確認ください

2つの報酬体系の違い

入退院支援に関わる加算は、医療保険(診療報酬)介護保険(介護報酬)のそれぞれに存在します。同じ「連携」でも、算定する主体・根拠法・タイミングがまったく異なります。

診療報酬(医療保険) 介護報酬(介護保険)
根拠法 健康保険法 介護保険法
算定主体 病院・診療所 居宅介護支援事業所(ケアマネ)
訪問看護ST 等
単位 点(1点=10円) 単位(1単位≒10〜11.4円・地域差あり)
改定サイクル 2年ごと(偶数年度) 3年ごと(直近は令和6年度)

診療報酬側の主な加算(医療機関)

医療機関が入退院支援・在宅連携に関して算定できる主な加算です。

加算名(区分番号) 点数目安 算定タイミング 概要・ケアマネとの関係
入退院支援加算1
(A246)
イ 一般病棟:700点
ロ 地域包括医療病棟等:1,000点
(令和8年度新設)
ハ 療養病棟:1,300点
退院時1回 専従職員の配置・退院支援部署の設置・連携実績等の要件あり。令和8年度改定で地域包括医療病棟等の新区分(ロ・1,000点)が追加。
入退院支援加算2
(A246)
イ 一般病棟:190点
ロ 療養病棟:635点
退院時1回 専従職員の配置は必要だが、連携実績等の要件が加算1より緩やか。
入退院支援加算3
(A246)
1,200点 退院時1回 NICU等に入院した超低出生体重児等が対象。令和8年度の新設ではなく既存の区分。
検査・画像情報
提供加算
(A246 注5・令和8年度新設)
200点 退院時または転院時 地域連携診療計画加算を算定する患者について、退院先の医療機関等へ検査結果・画像情報を添付して情報提供した場合に算定。令和8年度改定で新設。
介護支援等連携
指導料1
(B005-1-2)
400点
(入院中2回まで)
入院中(退院が見込まれる患者) ケアマネとの直接連携が要件。医師または医師の指示を受けた看護師等が、担当ケアマネと共同して療養上の指導を行った場合に算定。
介護支援等連携
指導料2
(B005-1-2・令和8年度新設)
500点
(入院中2回まで)
入院中(退院が見込まれる患者) 令和8年度改定で新設。入退院支援加算1の届出病棟で、入退院支援部門の担当者が平時から連携体制を構築しているケアマネと共同指導した場合に算定。指導料1との同一入院中の併算定は不可。
退院時共同
指導料2
(B005)
400点
(退院時1回)
退院時 入院医療機関の医師・看護師等が、在宅担当の医師・訪問看護師・ケアマネ等と共同して退院指導を行った場合。
退院前訪問
指導料
(C005)
580点
(退院前1回)
退院前(患家を訪問) 継続して1か月超の入院患者について、医師の指示のもと看護師等が退院前に患家を訪問して指導。介護報酬の退院・退所加算Ⅲとの連動あり。
退院後訪問
指導料
(C005-1-2)
580点
(退院後1回)
退院後1か月以内 退院後に患家を訪問して療養指導を行った場合。在宅スタッフとの同行訪問も可。

介護報酬側の主な加算(居宅介護支援・ケアマネ)

居宅介護支援(ケアマネ)が入退院の場面で算定できる主な加算です。

💡 介護報酬の改定サイクルに注意: 介護報酬は3年ごとの改定です。令和8年度(2026年)時点では令和6年度(2024年)改定後の値が適用されています。以下の点数はその値をもとにしていますが、必ず最新の介護報酬告示でご確認ください。
加算名 単位数目安 算定タイミング 概要・医療機関との関係
入院時情報連携加算Ⅱ 200単位/月 入院後3日以内に情報提供 ケアマネが入院後速やかに医療機関へ在宅情報(フェイスシート等)を提供した場合に算定。ケアマネ側の加算であり、医療機関には連絡義務はない。
入院時情報連携加算Ⅰ 100単位/月 入院後7日以内に情報提供 Ⅱと同様だが、情報提供が7日以内(3日超)の場合。月1回まで。
退院・退所加算Ⅰイ 450単位/回
※要確認
退院・退所時(上限3回/入院) 医療機関等から書面等で情報提供を受けた場合。カンファ参加なし。
退院・退所加算Ⅰロ 600単位/回
※要確認
退院・退所時 医療機関等の担当者とカンファレンスに参加した場合(書面等の情報提供も受けた場合)。
退院・退所加算Ⅱイ 600単位/回
※要確認
退院・退所時 医師・看護師等が参加するカンファレンスに参加した場合。
退院・退所加算Ⅱロ 750単位/回
※要確認
退院・退所時 Ⅱイの要件に加え、入院中に2回以上カンファレンスへ参加した場合。
退院・退所加算Ⅲ 900単位/回
※要確認
退院・退所時 医療機関が退院前訪問指導を実施した場合のカンファ参加。診療報酬の退院前訪問指導料と連動。最も高い評価区分。

連携の流れと加算の関係

入院から退院後まで、どのタイミングにどちらの加算が発生するかを整理します。

タイミング 誰が 診療報酬側の加算 介護報酬側の加算(居宅)
入院時
(初日)
病院 入退院支援加算1・2・3
入院後
3〜7日以内
ケアマネ
→病院
入院時情報連携加算Ⅱ(3日以内)
入院時情報連携加算Ⅰ(7日以内)

※ケアマネが在宅情報を医療機関へ提供したとき
入院中
(退院見通し後)
病院
+ケアマネ
介護支援等連携指導料1(400点)
介護支援等連携指導料2(500点・令和8年度新設)
(入院中2回まで、1と2の併算定不可)
退院前
(患家訪問)
病院 退院前訪問指導料
※これを実施すると介護報酬Ⅲと連動
退院時
カンファレンス
病院
+ケアマネ
退院時共同指導料2
※在宅担当者と共同指導
退院・退所加算Ⅰイ〜Ⅲ
※参加形態・カンファ回数・訪問指導との連動で区分が変わる
退院後 病院 退院後訪問指導料
※退院後1か月以内に患家訪問

令和8年度改定の主な変更点

令和8年度(2026年度)診療報酬改定では、入退院支援に関して次の4点が主な変更点として告示されました(保医発0305第6号・中医協総会答申 令和8年2月13日)。

① 入退院支援加算1 に新区分「ロ」を新設(1,000点)

地域包括医療病棟入院料・回復期リハビリテーション病棟入院料・地域包括ケア病棟入院料を届け出ている病棟を対象に、新区分「ロ(1,000点)」が追加されました。改定前は一般病棟のイ(700点)か療養病棟のハ(1,300点)の2区分でしたが、3区分体系になりました。

② 介護支援等連携指導料が2区分に再編(指導料2を新設)

従来1区分(300点)だった介護支援等連携指導料が再編され、指導料1(400点)指導料2(500点)の2区分になりました。指導料2は、入退院支援加算1の届出病棟において入退院支援部門の担当者が平時から連携体制を構築しているケアマネと共同して指導を行った場合に算定する上位区分です。同一入院中に1と2を重複算定することはできません。区分番号はいずれも B005-1-2 です。

③ 検査・画像情報提供加算を新設(200点)

A246の注5として新設。地域連携診療計画加算を算定する患者について、退院先または転院先の医療機関等に対して検査結果・画像情報を添付して情報提供した場合に算定できます(退院時または転院時1回)。

④ その他の見直し
  • 施設基準への不当な誘導の禁止が明文化(「囲い込み」防止)
  • 退院困難な要因の定義が拡大・整備(認知症の行動・心理症状等を含む)
  • 退院支援計画書の必須記載事項の見直し(リハビリ・栄養・口腔管理を含む療養支援内容の明記)
📎 令和8年度改定の主な根拠資料
・中央社会保険医療協議会 総会(令和8年2月13日答申)
・診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)令和8年3月5日 保医発0305第6号
・厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」告示

よくある混同ポイント

⚠️ 入退院支援加算は「入院初日」ではなく「退院時1回」の算定
入退院支援加算(A246)は退院時に1回算定します。「入院初日」に算定するものではありません。また加算1・加算2ともに病棟の種別(一般・療養等)によって点数が異なります。
⚠️ 入退院支援加算3は令和8年度新設ではない
令和8年度改定で新設されたのは、入退院支援加算1のロ区分(地域包括医療病棟等・1,000点)です。加算3(1,200点)はNICU等からの退院患者を対象とした既存の区分です。
⚠️ 「入院時情報連携加算」は医療機関の加算ではない
「入院時情報連携加算」はケアマネ(居宅介護支援)側の介護報酬加算です。ケアマネが医療機関へ在宅情報を提供したときに算定されます。医療機関が3日以内にケアマネへ連絡しても、医療機関側の加算にはなりません。
💡 介護保険法上の入院時連絡義務は本人・家族にある
入院の際にケアマネへ連絡する法的義務は本人または家族にあります(介護保険法)。医療機関に法的な連絡義務はありません。医療機関の実務としては、本人・家族に連絡を促すことが基本で、連絡できない状況の場合に代わって対応するという位置づけです。
⚠️ 介護支援等連携指導料の区分番号は「B005-1-3」ではなく「B005-1-2」
介護支援等連携指導料(指導料1・指導料2)の区分番号はいずれも B005-1-2 です。「B005-1-3」という番号は存在しません。令和8年度改定で2区分に再編されましたが、区分番号は変わらず B005-1-2 です。
⚠️ 退院時共同指導料2の区分番号は「B005-1-2」ではなく「B005」
退院時共同指導料2の区分番号は B005 です。介護支援等連携指導料(B005-1-2)と混同しやすいですが別の加算です。入院医療機関の職員が在宅担当者と共同して退院指導を行った際に算定するもので、番号体系も異なります。
💡 「退院・退所加算」を上げるには退院前訪問指導との連動が有効
ケアマネの退院・退所加算で最も高い評価(Ⅲ)を得るには、病院が退院前訪問指導料を算定するほどの支援(患家への訪問指導)と組み合わせることが条件になっています。医療機関側の手厚い対応が、ケアマネ側の評価にも直結します。
📎 参照・根拠
・診療報酬点数表 A246(入退院支援加算)/ B005-1-2(介護支援等連携指導料)/ B005(退院時共同指導料2)令和8年度改定版
・診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)令和8年3月5日 保医発0305第6号
・中央社会保険医療協議会 総会資料(令和8年2月13日答申)
・介護報酬告示 居宅介護支援費(入院時情報連携加算・退院・退所加算)令和6年度改定版
・介護保険法 / 介護保険法施行規則
※ 算定要件・点数・単位数は改定のたびに変更されます。実際の算定前に必ず最新の告示・通知でご確認ください。