入退院支援とは、患者さんが入院中から退院後の生活を見据えて、医療・介護・福祉・行政が連携しながら、その人らしい生活の実現を支える取り組みです。退院が近づいてから始まるものではなく、入院したその日から動き始めることが大切です。

📎 根拠・参照
厚生労働省「入退院支援の流れとポイント」/地域包括ケアシステム推進関連資料/令和8年度診療報酬改定 告示・通知
※ 算定要件・制度の詳細は改定のたびに変更されます。必ず最新の通知・医科点数表の解釈(最新版)をご確認ください。

入退院支援の目的

厚生労働省の指針では、入退院支援の目的として以下の4つが示されています。

  • 1
    その人らしい生活の実現 治療が終わったあとも、その人がどう生きたいかを中心に置いた支援を行います。住み慣れた場所で、自分らしく過ごせることを目指します。
  • 2
    生活の質(QOL)の向上 医療と生活のニーズを整理し、退院後も安心して暮らせる環境を整えることで、患者さんの生活の質を高めます。
  • 3
    再入院の予防 退院後の生活を見据えた支援を行うことで、症状の悪化や生活上のトラブルを防ぎ、不必要な再入院を減らします。訪問看護などの医療系サービスとつながることで、異変の早期発見と医療機関との連携がしやすくなります。
  • 4
    医療費の適正化 長期入院の予防と再入院の防止は、医療費の適正化にもつながります。病院と地域が連携することで、必要な医療を必要な場所で受けられる体制を整えます。

入退院支援の基本的な考え方

① 本人の意思・希望を最優先にする

「どこに帰りたいか」「どう生きたいか」——本人の意思と希望を入院初期から丁寧に確認し、支援の方向性を決めていきます。本人の意思と権利を守ることが、退院支援の根本にあります。

② 入院初期から退院を見据える

入院したその日から、退院後の生活を意識して動き始めることが大切です。早期に情報を集め、課題を整理し、関係者と連携することで、スムーズな退院につながります。令和8年度改定では入院前からの支援もより重視されています。

③ チーム医療・多職種連携

主治医の治療方針を軸に、看護師・リハビリ職・薬剤師・栄養士・MSW・ケアマネージャーなど、多くの職種が目標と情報を共有しながら協働します。それぞれの専門性を活かしたチーム医療が、退院支援の質を高めます。

④ 地域全体で考える

退院支援は、病院だけで完結しません。在宅支援者・行政(市区町村・地域包括支援センター・保健所・福祉事務所など)・施設など、地域全体が連携してはじめて、退院後の生活が成り立ちます。

💡 「入院中の医療モデル」から「退院後の生活モデル」へ
入院中は「治療する」ことが中心ですが、退院支援では「退院後にどう生きるか」という視点への転換が重要です。その橋渡しをするのが、退院支援に関わるすべての専門職の役割です。

支援を支える連携の構造

入退院支援のすべての中心にあるのは、患者本人と家族です。医療機関・在宅支援者・行政・施設などが連携しながら、その中心にいる本人と家族を支えます。

連携する主な関係者:

🏥 医療機関:主治医・看護師・退院支援看護師・MSW・リハビリ職・薬剤師・栄養士 等

🏠 在宅支援者:ケアマネージャー・相談支援専門員・訪問看護師・ヘルパー・在宅医 等

🏛️ 行政:市区町村(介護保険担当)・地域包括支援センター・保健所・福祉事務所 等

🏢 施設:特養・老健・グループホーム・有料老人ホーム 等

👤 中心:患者本人と家族

利用している制度・法律が違っても(介護保険法・障害者総合支援法など)、「本人を中心に関係者が同じ方向を向いて支援する」という考え方はすべて共通です。

診療報酬における位置づけ

入退院支援の取り組みは、診療報酬においても正式に評価されています。令和8年度改定でも引き続き重視されています。

📎 主な関連項目(令和8年度)
・入退院支援加算(A246):退院時1回の算定。加算1・2・3で要件・点数が異なる
・退院時共同指導料:在宅専門職との共同指導を評価
・介護支援等連携指導料(B005-1-2):ケアマネ・相談支援専門員との連携を評価

※ 算定要件・点数の詳細は医科点数表の解釈(最新版)または厚生労働省の告示・疑義解釈をご確認ください。
⚠️ 大切な視点:算定があるから行うのではなく、患者さんに必要だから行うのが退院支援の本質です。制度・加算の知識は「支援の幅を広げるための道具」として活用しましょう。