患者・家族向け 退院準備

🏠 施設への退院
特養・老健・グループホーム・サ高住の違いと選び方

📅 2026年5月8日(2026年7月13日更新) ・ ⏱ 約9分

退院後に「自宅ではなく施設へ」という選択をする場合、どんな施設があるのか、何が違うのか、費用はどのくらいかかるのかがわからず、不安になる方はたくさんいます。

施設にはいくつかの種類があり、本人の状態・介護の必要度・認知症の有無・費用・在宅復帰の希望によって向いている施設が変わってきます。この記事では、主な施設の特徴をわかりやすく整理します。

💡 施設選びは「あわてなくていい」場合も多い

退院先として施設を検討するとき、「すぐに決めなければ」と焦ることがあります。ただし、施設の種類によっては入所まで時間がかかることもあります。まずは担当のMSW(医療ソーシャルワーカー)や退院支援担当者に相談しながら、焦らず整理していきましょう。

まず知っておきたい:同じ施設に「2つの名前」がある

施設を調べ始めると、「特養」「介護老人福祉施設」「特別養護老人ホーム」……と呼び名がいくつも出てきて混乱します。実はこれ、同じ施設が、法律によって違う名前で呼ばれているだけです。

通称 介護保険法での名前 別の法律での名前
特養 介護老人福祉施設 特別養護老人ホーム(老人福祉法)
老健 介護老人保健施設
介護医療院 介護医療院

※書類やパンフレットで違う名前を見ても、慌てなくて大丈夫です。

📢 「介護療養型医療施設」は廃止されました。古い本やサイトには「介護療養型(介護療養病床)」が載っていることがありますが、令和6年(2024年)3月末で完全に廃止され、介護保険で入所する公的施設は現在「特養・老健・介護医療院」の3つに整理されています。その受け皿として作られたのが介護医療院です。

主な施設の種類

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介護老人保健施設(老健)

介護保険施設 / リハビリ・在宅復帰を目的とした施設
要介護1〜5 リハビリ重視 在宅復帰を目指す 医師が常駐

病院と自宅の「中間施設」と呼ばれます。退院後すぐに自宅に戻るのが不安な方や、もう少しリハビリを続けたい方に向いています。医師・看護師・リハビリスタッフが常駐しており、医療ケアも受けられます。

根拠法介護保険法
入所の条件要介護1以上の認定が必要
費用の目安月額8〜15万円程度(所得により異なる)
在所期間在宅復帰が目的のため原則3〜6ヶ月が目安(状況により異なる)
特徴医療処置が必要な方でも対応しやすい。リハビリを継続しながら在宅復帰を目指せる
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特別養護老人ホーム(特養)

介護保険施設 / 長期入所・生活の場
原則 要介護3以上 待機者が多い場合あり 終の棲家になることも

介護が必要な高齢者が長期にわたって生活する施設です。比較的費用が抑えられており、低所得の方への費用軽減制度もあります。一方で、希望者が多く入所までに時間がかかる場合があります。

根拠法介護保険法・老人福祉法
入所の条件原則として要介護3以上(特例で要介護1・2の方が入所できる場合もある)
費用の目安月額6〜15万円程度(所得・部屋タイプにより異なる)
在所期間長期(終身利用が可能な場合が多い)
特徴公的施設のため比較的費用が抑えられる。入所申し込みから実際の入所まで時間がかかることがある
🩺

介護医療院

介護保険施設 / 医療と介護の複合型・長期療養
要介護1〜5 医療依存度が高い方 長期療養

医療処置が継続的に必要で、かつ長期間の生活の場として利用する施設です。たん吸引・経管栄養・気管切開などの医療行為が必要な方でも対応できます。

根拠法介護保険法
入所の条件要介護1以上・長期療養が必要な方
費用の目安月額8〜16万円程度(医療処置の内容によって異なる)
特徴医療と生活の両方を同じ場所で受けられる。たん吸引・経管栄養などの処置が継続的に必要な方に向いている
👥

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

地域密着型サービス / 認知症の方を対象
要支援2以上 認知症の診断が必要 少人数・家庭的な環境 地域密着型(住所要件あり)

認知症と診断された方が、少人数で共同生活を送る施設です。1ユニット(共同生活の単位)は5〜9人で、施設によっては2ユニットなど複数のユニットを持つところもあります。家庭的な雰囲気の中で、料理・洗濯・掃除などを職員と一緒に行いながら生活します。地域密着型のため、原則としてその市区町村に住民票がある方が対象です。

根拠法介護保険法(地域密着型サービス)
入所の条件認知症の診断があること・要支援2以上・住民票が同じ市区町村にあること
費用の目安月額14〜20万円程度(施設により異なる)
特徴少人数で落ち着いた環境。認知症の進行がゆるやかになる例もある。住所地の制限があるため注意が必要
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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

賃貸住宅 / 見守り・生活相談サービス付き
要件なし(自立〜要介護まで) 自分のペースで生活 介護サービスは別途手配

介護施設ではなく「賃貸住宅」の一種です。安否確認と生活相談のサービスがついており、介護サービスは外部の事業者を別途利用する形になります。比較的自立度が高い方や、施設への入居に抵抗がある方に選ばれることがあります。

根拠法高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)
入居の条件60歳以上(または要介護・要支援認定を受けている方)
費用の目安月額10〜25万円程度(家賃+サービス費。介護サービスは別途)
特徴自分の部屋で自分のペースで生活できる。介護が重くなった場合には別の施設への移動が必要になることもある
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有料老人ホーム

介護付き・住宅型の2種類がある
自立〜要介護(施設による) 費用の幅が広い 施設によってサービスが多様

民間事業者が運営する施設で、「介護付き」と「住宅型」の2種類があります。施設ごとにサービス内容・費用・雰囲気が大きく異なるため、見学や比較が重要です。

根拠法老人福祉法(「介護付き」はさらに介護保険法の特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設)
介護付き介護サービスが施設内で提供される。要介護度が上がっても住み続けやすい
住宅型介護サービスは外部から手配。サ高住に近い形態
費用の目安月額15〜30万円以上(施設の種類・立地により大きく異なる)
💡
民間の住まい系を見分けるコツは、介護が「内付け」か「外付け」か。「介護付き有料老人ホーム」は施設の職員が介護をしてくれる内付け(特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設)。「住宅型有料」と「サ高住」は、介護が必要になったら外部の事業者と個別に契約する外付け(在宅サービスと同じ扱い)です。パンフレットの月額だけでなく、介護の費用がどちらの形で足されるのかを確認しましょう。

施設の特徴を一覧で比べる

  老健 特養 介護医療院 グループホーム サ高住 有料老人ホーム
要介護度 1以上 原則3以上 1以上 要支援2以上 問わない 施設による
(自立〜要介護5)
認知症対応 (専門) (施設による)
医療処置 (施設による)
リハビリ
長期生活
費用の目安 8〜15万円 6〜15万円 8〜16万円 14〜20万円 10〜25万円 15〜30万円以上
待機の可能性 比較的少ない ある場合が多い 施設による 施設による 比較的少ない 比較的少ない

※費用は目安です。所得や部屋タイプ・施設の種類によって大きく異なります。◎=対応しやすい、○=対応可、△=施設による、✕=基本的に対応しない
※印=サ高住・住宅型有料は「在宅」扱いのため、外部の介護保険サービス(通所リハビリ・訪問リハビリ・訪問看護など)を利用すれば対応できます。施設内では提供されなくても、あきらめる必要はありません

どの施設が合っているか考えるヒント

🔹 退院後もリハビリを続けて、できれば自宅に戻りたい

老健(介護老人保健施設)が向いています

🔹 自宅への帰宅が難しく、長く安心して生活できる場所を探したい

特養(特別養護老人ホーム)を検討。ただし待機が生じる場合があります

🔹 たん吸引・経管栄養など、医療処置が今後も必要

介護医療院または老健が対応しやすいです

🔹 認知症があり、落ち着いた少人数の環境で暮らしたい

グループホームが向いています(住民票の住所地に注意)

🔹 施設というより「自分の住まい」として、自立した生活を続けたい

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)有料老人ホームを検討

退院後に施設を考えるときの進め方

一人で決めず、MSW・入退院支援看護師・ケアマネジャーと相談しながら進める:本人の状態に合う施設の候補を一緒に絞ってもらえます。入院中であれば、本人・家族と病院とで退院後の方向性を話し合う場(退院カンファレンスなど)が設けられますので、その場で不安や希望を伝えてください
特養を考えるなら、入院中から申込み・情報収集を:待機期間があるため、早く動くほど選択肢が守れます
本人の医療的ケアに対応できるかを必ず確認:たん吸引・経管栄養・インスリン注射などは、施設によって対応できる範囲が違います。見学や問い合わせのときに具体的に伝えて確認を
介護度の「先の見通し」も考えて選ぶ:施設には入居に必要な介護度の条件があり、更新で区分が変わると住み替えが必要になる場合も(更新と区分変更の記事

よくある質問

特養はなぜ「待つ」の?
費用が比較的抑えられた公的施設で希望者が多いためです。申込みから入所まで時間がかかることが多いので、入院中から申込み・情報収集を始めるのが現実的です。緊急性が高い場合は申込書の特記事項に事情を記載し、MSW・ケアマネに相談を。
老健にはずっといられますか?
老健はリハビリをして在宅復帰を目指す施設で、入所は原則3〜6ヶ月が目安です。長期の生活の場を探す場合は、特養・介護医療院・有料老人ホームなどを検討します。
認知症の場合はどこがいい?
グループホームが選択肢になります(認知症の診断+要支援2以上+原則同じ市区町村の住民票が条件)。特養・介護医療院・介護付き有料も認知症の方を受け入れています。症状や介護度に合わせてMSW・ケアマネと相談を。
費用がいちばん安いのは?
一般に特養です。所得に応じて食費・居住費が軽減される補足給付(特定入所者介護サービス費)もあります。ただし待機があるため、費用と入りやすさのバランスで考えます。具体的な金額は施設・部屋タイプ・所得で大きく変わるので、必ず各施設に確認を。
医療的ケアが必要でも入れますか?
施設により対応範囲がまったく違います。介護医療院・老健は医療対応が手厚く、特養は健康管理が中心、民間の住まい系は施設ごとの差が大きいです。たん吸引・経管栄養・インスリンなど、必要なケアを具体的に伝えて対応可否を確認してください。

費用が心配なときの制度

介護保険施設(老健・特養・介護医療院)では、所得が低い方を対象に食費・居住費を軽減する「補足給付(特定入所者介護サービス費)」という制度があります。介護保険の制度なので、市区町村の介護保険窓口・ケアマネジャー・検討している施設の相談員に聞いてみましょう。

⚠️ 施設への入居は「介護保険証」が必要です

老健・特養・介護医療院・グループホームは介護保険サービスのため、要介護認定を受けていることが前提です。まだ認定を受けていない場合は、入院中でも申請できます。担当の退院支援スタッフやMSWに相談してください。

📌 この記事のまとめ

  • 施設にはいくつかの種類があり、本人の状態・介護度・認知症の有無・医療処置の必要性・費用によって向いている施設が違う
  • 老健はリハビリ・在宅復帰を目指す方に。特養は長期生活の場として(待機あり)
  • 介護医療院は医療処置が継続的に必要な方に。グループホームは認知症の方に
  • サ高住・有料老人ホームは比較的自立度が高い方や、自分のペースで生活したい方に
  • 費用が心配な場合は補足給付などの制度もある。MSWへの相談を
  • 迷ったときは、入院中のMSW・退院支援担当者に相談するのが一番の近道

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📎 参考文献・公式情報
厚生労働省「介護医療院について」
https://www.mhlw.go.jp/kaigoiryouin/about/

⚖️ 根拠法令:
・介護保険法(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院・地域密着型サービス)
・老人福祉法(特別養護老人ホーム・有料老人ホーム)
・高齢者の居住の安定確保に関する法律(サービス付き高齢者向け住宅)
※介護療養型医療施設は令和6年3月末で廃止

※施設の受け入れ要件・費用は施設ごと・自治体ごとに異なります。詳細は各施設・ケアマネジャー・地域包括支援センターにご確認ください。

🩺
執筆者
保健師・社会福祉士・介護支援専門員
医療ソーシャルワーカー(MSW)

病院で入退院支援に従事。記事は厚生労働省の告示・通知や法令にあたって作成しています。
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