入院すると、たくさんの職種の人が入れかわり立ちかわりやって来ます。「この人は誰?」「この相談、誰にすればいいの?」——そう感じるのは自然なことです。この記事では、入退院で出会う主な専門職の役割と、困りごと別の相談先をまとめました。ブックマークして、迷ったときの索引としてお使いください。

💼 この記事は患者さん・ご家族向けですが、医療・介護の現場に入ったばかりの新人スタッフや、異動してきた方が「地域側・病院側の職種」を確認する用途にもお使いいただけます。

まずは早見表〜この困りごと、誰に相談?

困りごと 相談先
病気や治療のこと 主治医(聞きそびれたら看護師に)
入院中の生活・体調のこと 病棟の看護師
支払いが不安・制度を使いたい・退院後の生活のこと(入院中) 医療ソーシャルワーカー(MSW)
退院後の介護サービスのこと(在宅) ケアマネジャー
介護の相談をどこから始めればいいか分からない 地域包括支援センター(65歳以上・無料)
歩く・食べる・話すの回復のこと リハビリ職(PT・OT・ST)
薬のこと 薬剤師
食事・栄養のこと 管理栄養士
請求書の内容・支払い方法・領収書のこと 医事課(会計窓口)
生活が苦しい・生活保護のこと 役所(福祉事務所)・生活困窮の相談窓口 ※MSWからも案内してもらえます
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覚えておくと迷わないコツ:入院中のことは病院のスタッフ(MSWなど)へ、退院後・自宅での生活のことは地域のスタッフ(ケアマネジャー・地域包括支援センター)へ。それぞれの場所の暮らしをいちばんよく知っている人に聞くのが近道です。どちらか分からなければ、どちらに聞いてもちゃんとつないでもらえます。

医療機関で出会う専門職

👨‍⚕️ 主治医(医師)

資格:医師(国家資格)

治療の方針を決める責任者です。病状・治療・今後の見通しの説明はここから。診察のときに聞きたいことをメモしておくと聞きそびれを防げます。介護保険を申請すると「主治医意見書」を書くのもこの先生です(意見書と申請の記事)。

👩‍⚕️ 病棟の看護師

資格:看護師(国家資格)

入院中、いちばん身近な存在です。体調の変化・痛み・眠れない・不安——生活と体のことは何でもまず看護師へ。医師に言いにくいことを橋渡ししてもらうこともできます。

🤝 医療ソーシャルワーカー(MSW)

「医療ソーシャルワーカー」は職名。多くは社会福祉士・精神保健福祉士(国家資格)の資格を持っています

病院の「よろず相談窓口」で、社会福祉の専門職です。入院費が心配・制度が分からない・退院後の生活が不安・転院や施設を考えたい——治療以外の困りごとはMSWへ。地域連携室・患者支援センターなどの部署にいます。「相談したい」と看護師に伝えれば取り次いでもらえます。

なお、お金の相談では、MSWはすべてを自分で解決する人ではなく、事情を聞いて合った窓口につなぐ「入口」です。たとえば高額療養費は、今はマイナ保険証を使えば窓口の支払いが自動的に上限までになりますし(入院費用の記事)、支払い方法の相談は医事課、生活保護の相談は役所(福祉事務所)、生活にお困りのときは生活困窮者の相談窓口(自立相談支援機関。名称は自治体によりさまざま)が担当です。「どこに行けばいいか分からない」段階で話せば、この振り分けをしてもらえます。

🚶 リハビリ職(理学療法士PT・作業療法士OT・言語聴覚士ST)

資格:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(いずれも国家資格)

PTは歩く・立つなど体の動き、OTは着替え・トイレ・家事など生活の動作、STは話す・飲み込むのリハビリを担当します。「家に帰ってお風呂に入れる?」「階段は上れるようになる?」など、生活に引きつけた質問をすると具体的に教えてもらえます。

💊 薬剤師 / 🍚 管理栄養士

資格:薬剤師・管理栄養士(いずれも国家資格)

薬剤師には薬の飲み合わせ・副作用・退院後の薬の管理を、管理栄養士には食事制限・飲み込みに合わせた食形態・退院後の食事を相談できます。

🏥 入退院支援看護師(入退院支援部門)

資格:看護師(国家資格)。「入退院支援看護師」は役割の名称です

入院前から退院後までを見通して調整を行う看護師です。MSWとチームで、退院後の医療処置の引き継ぎや在宅サービスの調整を行います。所属部署の名前(入退院支援センター・地域連携室など)は病院によりさまざまです。

💰 医事課(会計窓口)

医療機関の事務部門(請求・会計の担当)

入院費の請求書の内容・支払い方法・領収書など、お金の実務的なことはここへ。「支払いが難しい」「制度を使えないか」という相談になったら、MSWにつないでもらえます。

🩺 保健師・助産師

資格:保健師・助産師(いずれも国家資格)

医療機関によっては配置されています。保健師は保健指導や地域との連携、助産師は出産・産後の母子のケアが専門です。

在宅の場面で出会う専門職

📋 ケアマネジャー(介護支援専門員)

正式名称:介護支援専門員(公的資格)。「ケアマネジャー」「ケアマネ」は通称です

在宅の介護サービスの「コーディネーター」です。要介護認定を受けたら、ケアプラン作成・サービス事業者の手配・困りごと相談まで、在宅生活の相談はまずケアマネへ。費用は介護保険から全額まかなわれ、自己負担はありません。詳しくは介護サービスの利用の記事へ。

🏛️ 地域包括支援センター

機関の名称。保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員の3職種が配置されています

65歳以上の方の「介護の総合相談窓口」(無料)です。保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーがいて、「何から始めればいいか分からない」段階の相談にいちばん向いています。要支援の方のケアプランもここが担当。中学校区に1ヶ所程度あり、市区町村のホームページで探せます。

🏡 訪問看護師

資格:看護師(国家資格)

自宅に来てくれる看護師です。退院後の医療処置・体調管理・服薬の見守りなど、医療の面から在宅生活を支えます(訪問看護の記事)。

🏠 ホームヘルパー(訪問介護員)

正式名称:訪問介護員。介護福祉士(国家資格)や介護職員初任者研修などの修了者が担います

自宅での入浴・排泄・食事の介助(身体介護)や、調理・掃除(生活援助)を担当します(訪問介護の記事)。

🦽 福祉用具専門相談員

指定講習の修了が必要な公的資格です

車椅子・介護ベッド・手すりなどの福祉用具の選定・調整の専門家です。体の状態と住まいに合った用具を提案してくれます(福祉用具の記事)。

🏢 施設の相談員(生活相談員・支援相談員)

職名。社会福祉士などの資格を持つ方が担うことが多いです

老人ホームや老健などの施設側の相談窓口です。入所の相談・見学・費用の質問はこの方へ。施設選びの全体像は施設への退院の記事をどうぞ。

よくある質問

誰に相談すればいいか、どうしても分からないときは?
入院中なら看護師に「相談したいことがある」と伝える、自宅なら地域包括支援センターに電話する——この2つを覚えておけば大丈夫です。違う窓口だったとしても、適切な人につないでもらえます。
相談にお金はかかりますか?
この記事で紹介した相談は基本的に無料です(MSW・地域包括支援センター・ケアマネジャーいずれも相談自体に費用はかかりません)。
同じことを何人にも話すのが大変です。
よくあるお悩みです。経過や困りごとをメモ1枚にまとめておき、それを見せながら話すと負担が減ります。また「ケアマネの◯◯さんに伝えてある」と言えば、専門職同士で連絡を取り合ってくれます。

まとめ

この記事のまとめ:

✅ 病気・治療は主治医、入院中の生活は看護師、制度・お金・退院後の不安はMSW
✅ 退院後・在宅のことはケアマネジャー、迷ったら地域包括支援センター(65歳以上・無料)
入院中のことは病院のスタッフへ、自宅のことは地域のスタッフへ——これだけ覚えれば迷いません
✅ 間違った相手に相談しても大丈夫。ちゃんとつないでもらえます