介護保険を使うためには「要介護認定」を受ける必要があります。その大切なステップが訪問調査です。「調査員が家に来て何を調べるのか」「どう答えればいいのか」を知っておくと、当日慌てずに済みます。

訪問調査とは

訪問調査は、市区町村から派遣された認定調査員が自宅(または入院中の病院)を訪問して、日常生活での困りごとや体・認知機能の状態を確認するものです。調査の結果は、要介護度の判定に使われます。

💡 訪問調査は「試験」ではありません

「ちゃんとできるところを見せなければ」と思う必要はありません。調査員は「できる・できない」を評価しているのではなく、「どのくらいの介護や支援が必要な状態か」を確認しています。普段の生活の状態をそのまま伝えることが大切です。

調査当日の流れ

  • 1
    調査員が自宅(または病室)を訪問 事前に日時の連絡があります。所要時間は30〜60分程度が目安です。
  • 2
    聞き取り調査(質問への回答) 日常生活の動作・認知機能・医療処置の状況などについて質問されます。できるだけ本人が答え、補足を家族が行う形が理想的です。
  • 3
    実際の動作確認(一部) 「立ち上がってみてください」「歩いてみてください」など、実際の動作を見せてもらうことがあります。「いつもの状態」で行ってください。
  • 4
    調査終了・書類の記入 調査員が調査票を記入して終了します。その場で結果を教えてもらうことはできません。

調査で聞かれること(大きく5つ)

① 身体の動作について
起き上がり・座位保持・立ち上がり・歩行・階段の昇降・入浴・爪切り など
「一人でできるか」「手助けが必要か」「全介助が必要か」を確認します。

② 日常生活の動作について
食事・排泄・着替え・洗顔・口腔ケア・移動 など
「どの程度、自分でできているか」を確認します。

③ 認知機能について
今日の日付・自分の名前・今いる場所・短期的な記憶 など
日常的な物忘れ・迷子になることがあるか・意思の伝達ができるか、なども確認します。

④ 精神・行動面について
夜眠れているか・同じことを繰り返し言うか・介護への抵抗があるか など
認知症に伴う行動・心理症状がある場合は、具体的に伝えましょう。

⑤ 医療処置・社会生活について
過去14日以内に受けた医療処置(点滴・酸素・透析・胃ろう等)の有無
薬の管理・買い物・電話の利用・金銭管理などができるかどうか

正直に、事実を伝えることが大切

調査では「事実をそのまま、正直に」伝えることが一番大切です。

調査員は、聞いた内容をもとに調査票に記録します。その記録が要介護度の判定に直接使われます。「よく見せよう」「悪く見せよう」ではなく、実際の状態をありのままに話すことが、生活に合ったサービスにつながります。

特に、日常生活で困っていることを具体的に伝えることが大切です。「こんなときに困る」「これができなくて不便だ」という声が、調査の大切な情報になります。
⚠️ 調査当日だけ「頑張って見せてしまう」と、実態が伝わらないことがあります

「しっかりしているところを見せなければ」という気持ちはよくわかります。しかし、普段できていないことを当日だけ頑張ってしまうと、実際の生活の困りごとが正しく伝わりません。

普段できていないこと・いつも手伝ってもらっていること・困っていることは、正直にそのまま伝えてください。
正直に伝えてほしいこと:

✅ 日常生活で困っていること・不安なこと(何が大変か)
✅ 「いつも」どのくらいの手伝いが必要か(毎回・時々・たまに)
✅ 「転んだことがある」「夜中に起き出す」など、具体的な出来事
✅ 「自分でできるが時間がかかる・危ない」という状況
✅ 「本人は大丈夫と言っているが、実は家族が手伝っている」という事実
✅ 「調子のよい日」と「調子の悪い日」がある場合は、その両方
💡 「できること(能力)」と「実際にしていること(実行状況)」の両方を確認します
調査では「能力として可能か」と「実際に行っているか」を分けて確認します。「できるけれど、危なくて家族がいつも手伝っている」という状況も、事実として正直に伝えてください。調査員が記録します。
💡 要介護度によって使えるサービスの量や自己負担額が変わります
要介護度が高いほど利用できるサービスの上限(支給限度額)が増えますが、自己負担額も変わります。大切なのは「実際の状態に合った介護度」が判定されること。そのためにも、事実をありのままに伝えることが一番です。

家族が同席するときのポイント

家族ができること:

👨‍👩‍👧 本人が答えにくいことや、忘れていることを補足する
👨‍👩‍👧 「普段こんなことが起きています」という具体的なエピソードを伝える
👨‍👩‍👧 「夜中に〇回起きる」「転んだことが先月2回あった」など、数字や頻度で伝えると伝わりやすい
👨‍👩‍👧 本人の前では言いにくいことは、調査員に「後で別にお伝えしたいことがあります」と申し出てもOK

⚠️ 本人の代わりに全部答えてしまうのは避けましょう。本人の意思・能力の確認ができなくなります。

入院中に調査を受ける場合

入院中の調査で特に大切なこと:

🏥 入院中は普段より「できること」が多く見える場合があります(病院のベッド・環境が整っているため)。

🏠 調査員は「退院後、自宅ではどうなるか」という視点で調査しています。退院後の自宅での生活状況を想定して答えることが大切です。

💬 「病院ではできているけど、自宅に戻ったらこういう部分が心配」という情報を、家族から積極的に伝えてください。

🪜 自宅の段差・トイレの場所・風呂場の状況なども、調査員に伝えておくと参考になります。
💡 「今できること」より「自宅での生活」を伝えてください
入院中は看護師がそばにいて安全な環境ですが、退院後は違います。「自宅に帰ったらこういう不安がある」「退院前はこのくらいの状態だった」という情報が、より正確な判定につながります。

調査後の流れ

  • 1
    訪問調査の結果をもとに「一次判定」 調査票のデータをコンピュータで処理し、要介護度の目安(一次判定)が出ます。
  • 2
    主治医意見書との合算で「介護認定審査会(二次判定)」 医師・保健師・福祉職などの専門家が集まり、一次判定と主治医意見書をもとに最終的な要介護度を決定します。
  • 3
    認定結果の通知 申請から原則30日以内に認定結果が届きます。要支援1〜2・要介護1〜5・非該当のいずれかが通知されます。
  • 4
    ケアマネジャーを選んでサービス開始へ 要介護1〜5の方はケアマネジャーを選定。要支援1〜2の方は地域包括支援センターが担当します。サービスは申請日にさかのぼって使えます。
💡 認定結果に不満がある場合は「不服申請(審査請求)」ができます

認定結果に納得できない・実態と大きく違うと感じる場合は、都道府県の介護保険審査会に不服申し立て(審査請求)を行うことができます。認定結果の通知を受けた日の翌日から3か月以内に申請する必要があります。

また、状態が入院・手術などで大きく変わった場合は、認定有効期間中でも「区分変更申請」を行うことができます。

どちらも、ケアマネジャー・MSW・地域包括支援センターに相談することで手続きの支援を受けられます。