患者・家族向け
入院中の過ごし方
🏃 入院中のリハビリ
目的・内容・家族にできること
📅 2026年5月9日 ・ ⏱ 約6分
「リハビリをしてください」と言われても、何のためにやるのか、どこまでやればいいのか、よくわからないという方は多いです。体がつらいのに、なぜ動かなければならないのか——そう感じる方も少なくありません。
リハビリの目的と内容を知っておくと、取り組み方が変わります。
リハビリテーションの3つの種類
病院でのリハビリは、専門のセラピストが担当します。主に3つの職種がいます。
理学療法士(PT)
歩く・立つ・座るなどの基本的な動作の回復を担う。筋力・バランス・歩行のリハビリが中心。
作業療法士(OT)
食事・着替え・トイレなど日常生活の動作を回復・練習する。手や腕の機能、認知機能のリハビリも担う。
言語聴覚士(ST)
話す・飲み込む(嚥下)・聞くなどの機能を担う。脳卒中後の失語症、誤嚥性肺炎後の嚥下リハビリなど。
「体がつらいのに、なぜ動くの?」
入院中は安静にしていた方がよいと思いがちですが、実は動かない期間が長くなるほど、体の機能は急速に落ちていきます。これを「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」といいます。
⚠️ 1日寝ていると、筋力は1〜3%落ちるとされています
高齢者の場合、1週間の安静で数週間分の筋力が落ちることもあります。「退院したら動けばいい」では間に合わないことがあるため、入院中から早期にリハビリを始めることが重要です。
早く動き始めることで、
- 筋力・バランスの低下を最小限に抑えられる
- 合併症(肺炎・褥瘡・血栓など)のリスクが下がる
- 退院後の生活への移行がスムーズになる
- 入院期間が短くなる傾向がある
入院中のリハビリの流れ
急性期
手術・治療直後から数日〜1週間ほど
ベッド上でできる運動(足首の曲げ伸ばし・深呼吸・体位変換など)から始まることが多い。痛みや体の状態を確認しながら、少しずつ起き上がり・座る練習へ進む。
ベッド上でできる運動(足首の曲げ伸ばし・深呼吸・体位変換など)から始まることが多い。痛みや体の状態を確認しながら、少しずつ起き上がり・座る練習へ進む。
回復期へ
状態が安定してきたら
立つ練習・歩行練習・日常動作の練習が始まる。セラピスト室に行ってのリハビリや、病棟での自主トレーニングが組み合わされる。
立つ練習・歩行練習・日常動作の練習が始まる。セラピスト室に行ってのリハビリや、病棟での自主トレーニングが組み合わされる。
退院前
退院後の生活を見据えて
階段の昇り降り・自宅の動線を想定した練習・福祉用具の検討が行われる。セラピストが自宅の環境について家族に確認することもある。
階段の昇り降り・自宅の動線を想定した練習・福祉用具の検討が行われる。セラピストが自宅の環境について家族に確認することもある。
よくある疑問・不安
痛いのに無理してやらないといけないの?
痛みがある場合は、必ずセラピストに伝えてください。無理に動かすことはしません。痛みの程度・場所・タイミングを具体的に教えると、リハビリの内容を調整してもらえます。
疲れたときは休んでいいの?
もちろんです。「疲れました」「今日はつらいです」と伝えることは大切です。ただし、毎日少しずつ続けることが回復への近道なので、完全にやめるのではなく量を減らすなどの相談を。
リハビリは毎日あるの?
病院の体制・病状・回復の段階によって異なります。週に数回のこともあります。セラピストから「自主トレーニング」を指示される場合もあるので、病棟でも練習を続けることが大切です。
元通りに動けるようになる?
病気・けが・年齢・もともとの状態によって回復の程度は異なります。「完全に元通り」を目標にするより、「退院後の生活で何ができるようになりたいか」を目標にすると、リハビリに取り組みやすくなります。セラピストに率直に聞いてみましょう。
退院後もリハビリは続けられる?
はい、続けられます。在宅で訪問リハビリ(理学療法士・作業療法士が自宅に来る)や、デイケア(通所リハビリ)を利用することができます。退院前にセラピストや退院支援担当者に相談しましょう。
家族にできること
💡 「見守る」だけで十分なときもある
家族が「もっとがんばって」と励ますことが、かえってプレッシャーになることもあります。本人のペースを尊重しながら、できたことを一緒に喜ぶ関わり方が一番の支えになります。
- セラピストに自宅の環境を伝える——段差・トイレの場所・浴室の構造など、退院後の生活を想定した練習に役立ちます
- 自主トレを一緒に確認する——「どんな練習を言われているか」を面会時に聞いておくと、退院後も続けやすくなります
- 「できるようになったこと」に目を向ける——昨日よりも少し歩けた、立てた、など小さな変化を一緒に喜ぶ
- 本人が「やりたいこと」を大切にする——「退院したら何をしたいか」という目標が、リハビリの動機になります
📌 この記事のまとめ
- リハビリにはPT(歩行)・OT(日常動作)・ST(言葉・嚥下)の3職種がいる
- 動かない期間が長いほど体の機能は落ちる。早期からのリハビリが回復を早める
- 痛い・疲れたときは無理せずセラピストに伝える。量を調整してもらえる
- 「元通り」より「退院後に何をしたいか」を目標にすると取り組みやすい
- 退院後も訪問リハビリ・デイケアで続けられる。退院前に相談を
- 家族は本人のペースを尊重し、できたことを一緒に喜ぶ関わり方が一番の支え